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Chapter8/スリバータイプ


オーバルタイプで使用できない細い端材を活用。
導管の大きさを引用したサイズで樹種の個性を認識しやすく。
作業工程の困難から新たなチャレンジ。

ホワイトオークの導管

それぞれのチップサイズ

桧のスリバータイプ

 端材の中に細すぎて突板化粧合板には貼れないと判断され破棄されるものがあります。オーバルタイプで使用する突板端材もある程度の幅が必要になり、より多くの端材を使用するために巾の細い物も利用できるパターンを考えました。

 スリバーチップはそれぞれの樹種の導管の太さに合わせた幅を引用しています。
樹種により太さの違う導管は年輪・色調と同じように木材の顔を形成する一部です。
詳しくは環孔材・散孔材・仮道管にも分けられますがここではあくまで触感や印象からお話させていただきます。木材の多くは仕上げに塗装が必要になりますがウレタン塗装を選択した場合、オープン/クローズという方法があります。これは木材の表面に現れている導管(小さな穴)を埋めない(オープン仕上げ)/埋める(クローズ仕上げ)ことで仕上がりの表情に違いを持たせ木材の魅力を活かします。
 ホワイトオークは他の種類よりも肉眼でもわかる導管の太さで荒々しいイメージ、ウォルナットは堅木の広葉樹でありながら目のつまりが均等で繊細な強さ、針葉樹の杉と桧は見た目からも感じられる柔らかな繊細さ、板として構成された時に光沢感が生きるサイズにカットしています。
 実はこの細切り、単純のように見えて非常に手間がかかります。0.2mm程度のごく薄い突板ですが密度は箇所により複雑に異なり硬さなどが均等ではありません。その為シュレッダーのような機械ではうまく切れず切り口が不揃いになる為、やはり突板専用の裁断機にて裁断する方法が一番になりますが通常細かいものを切る為の物ではない大型の機械は向いていない部分が多く効率も悪い。色々な条件を考慮した結果、長さ方向に関しては総合的に適応力が高い「ハサミで切る。」が有効的であるという判断になりました。(※現在では一部、機械にて裁断しています。)

当初、機械で簡単に量産できると考えていたので想定外でした。「ハサミで切る作業を誰が行うのか。」という課題から、かねてより必要性を感じていたことに挑戦する機会を得ました。