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Chapter2/突板


突板は紀元前からあるエシカルな素材。
稀少種を多く使用でき変形リスクも少ない。
使用されている木の樹齢は150年前後のものが多い。

国内の突板の厚みは0.2mm前後から

Cosmetic Box of the Royal Butler Kemeni,B.C.1814-1805 @The Met

Box of a woman named Tamit,B.C.1539-1076 @MUSEO EGIZIO

 突板の始まりは紀元前3000年ごろのエジプトからといわれています。当時のエジプトでは稀少だった木材をヨーロッパやアフリカの近隣諸国から輸入し、最大限に利用するためにスライスした木を家具などに使用していました。突板だけでなく木の繊維方向を交差させた合板の痕跡もあり、当時の可動式チェストを見ると木材の軽さと強さを生かすこと装飾などの加工性の高さを理解していたことが窺えます。メトロポリタン美術館にある紀元前1805年ごろの化粧箱は松系統の突板と黒檀そして部分的に象牙で装飾されています。注目すべき点は、当時から面材として節が除かれていたことと多くのものに黒檀系の木材が使われており木材としてのグレードの認識が現代と同様、もしくは現在まで続いていると考えると興味深いです。
 
 現代でも突板と合板で作られた家具は軽量且つ剛柔性があり、完成品の運搬面の利点や可動する扉板などに適しています。ただし、19世紀ごろに合板が機械化され大量生産されるようになると規制や規格がない時期には安価で劣悪な製品も多く出回ったことから、現在でも無垢板や集成材(ソリッド材)よりも劣る製品と見なされることがあります。無垢材では取り扱いの難しい樹種や希少性の高い樹種を使用でき、反りや狂いなど個々の木が持つ癖をコントロールしやすく、温度差による加工後の変形リスクも少ない。さらに300mm巾以上の木目をリピートして大量に使用でき、不燃認定材としても利用できます。
 
 突板として使用されている木はゆっくりと成長した密度のつまった大径木が使用され、樹種にもよりますが樹齢は150年以上のものも多く、一般的な構造材に使用されている木材に比べて長い年月をかけた木が使用され同じ樹種の中でも希少性の高い木が選ばれているといえます。 
やはりこの突板を破棄してしまうのは勿体ないと感じていました。